米格付け大手のムーディーズ・インベスターズ・サービスは12日、トルコの信用格付けを従来の「B2」から引き下げ、過去最低水準の「B1」とした。格付け見通しは「ネガティブ(弱含み)」で、さらなる格下げの可能性がある。
今回の格下げは、トルコ経済が世界経済・金融市場など外的な要因に影響を受けやすく、債務危機のリスクが拡大していると判断したため。「B1」は投資適格級から5ランク下の格付けで、エジプトやジャマイカ、ルワンダなどが同ランクに位置付けられている。
トルコは、エルドアン大統領の経済成長を最優先する方針に沿ったばらまき政策で、投資家の信用を失いつつある。インフレ率は高止まりし、国債や通貨リラ、金融派生商品(CDS)の相場は新興国の中でも最悪の水準だ。外貨準備高(金を除く)は9月4日現在で、年初比4割減の449億米ドルまで縮小した。法定準備預金額と外貨建て債務の合計額を差し引くと、ほぼゼロという計算になる。
ムーディーズの予測では、今年の政府債務は昨年の対国内総生産(GDP)比32.5%から42.9%まで拡大する見通しだ。