露ヤンデックス、金融事業参入に本腰

ロシアのインターネット大手ヤンデックスが金融事業への参入を計画している。現地紙『ベドモスチ』がこのほど報じたもので、すでに銀行や保険など金融業の商標登録の申請を行った。今後はフィンテックやネット通販など、インターネット企業の強みを生かした分野に業態を拡大していく可能性がある。

同社は現在、オンライン決済サービスの「ヤンデックス・マネー」をノンバンクとして提供している。同国の証券会社Finamのアナリスト、レオニード・デリツィン氏は『ベドモスチ』に対し、ヤンデックスは既存の銀行を買収することもできるが、さらに先を見据えて動いていると指摘する。移動通信やITなどの大手会社は企業グループを形成することで自らの周辺にビジネスのエコシステムを作り出しており、ヤンデックスも同様の方向を目指しているとの見立てだ。また証券会社オトクリーチエのセルゲイ・ヘスタノフ氏は、ヤンデックスはITと金融インフラを融合することで、アップルペイなどに類似したサービスを皮切りとしてアマゾンの電子商取引(EC)プラットフォームであるマーケットプレイスのような事業を開始する可能性があると話す。

前出のデリツィン氏はまた、国内2位銀行の国営VTBがヤンデックスと提携し金融サービスの開発を行うことも考えられると述べた。同社はフィンテックを重視しており、ネット通販とともに事業の柱とする可能性があるという。

ヤンデックスは今年7月、最大手行ズベルバンクとの提携解消で合意。同行が保有していたネット通販サイト「ヤンデックス・マーケット」の株式45%を420億ルーブル(4億6,700万ユーロ)で買い戻す一方で、ヤンデックス・マネーの株式を24億ルーブル(2,670万ユーロ)で売却し、出資関係を清算した。背景には近年、ヤンデックスのライバルであるITサービス大手メイルルーとズベルバンクとの協力関係が主にフードテックや運輸関連分野において深まっていることがあるほか、合弁事業の主導権をズベルバンクが握っていることに対する不満があるとみられている。(1RUB=1.36JPY)

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