ロシア国立原子力研究大学(MEPhl)の研究チームが水素貯蔵材料の研究に向けて、新しい試験設備を製作した。フィルム状の水素吸蔵合金に適した合金組成や製造法を見出す目的だ。同大学によると、この種の設備はほかに類を見ないという。
水素は可燃性で発火・燃焼しやすいため、貯蔵には注意が必要だ。しかし、水素吸蔵合金の中に貯蔵することで、高い安全性・効率性を確保できる。
MEPhlレーザー・プラズマ研究所のアレクサンドル・ピサレフ教授によると、水素貯蔵には一般的に、粉末状の水素吸蔵合金が利用されている。研究チームは、形状を細長い極薄のフィルム状にすることで貯蔵法が改良できるという仮説に立ち、新設備を用いて最適な材料・工法を見出す計画だ。昇温離脱特性や組成による違い、製造パラメーターによる特性の変化などを観察していくという。
水素は宇宙構成元素の約90%を占める可燃性ガスで、化石燃料に代わる無尽蔵の資源として有望視されている。安全な貯蔵方法を実用化できれば、発電所から自動車用燃料まで、多様な分野で活用できる。