ズベルバンクとメール・ル、合弁事業で意見対立

ロシア最大手銀行で国営のズベル(旧ズベルバンク)と国内IT大手メール・ル(Mail.ru)が、合弁事業に関する方針の一致に苦心している。経営に関する決定権や総合サービスの構築基盤といった根幹にかかわる問題で歩み寄りがみられず、提携解消の可能性さえ噂されるようになった。実現すれば、ズベルにとってはIT最大手ヤンデックスとの決裂に続く痛手となる。

両社は昨年末、合弁会社O2O(オンライン・トゥ・オフライン)を設立。配車・出前・配達事業を束ねたプラットフォームを構築し、他の分野にもサービスを拡大していく目的で、すでに120億ルーブル(1億6,000万米ドル)を投資した。メール・ルはこのほか、合弁会社の企業買収資金として6億ドルの調達に成功している。

しかし、合弁会社をめぐる意見の調整が進んでいない。両社に近い複数筋の情報として英『フィナンシャル・タイムズ』や現地メディアが報じたところによると、◇対等出資の合弁会社でどちらが決定権を握るか◇新プラットフォームへのログインに、メール・ルのソーシャルメディア「Vコンタクテ」のログイン情報を用いるか◇ユーザーの決済手段にズベル以外のシステムも含めるか◇メール・ルの経営に対するズベルの発言権を強化するか――などが争点となっている。また、金融の枠を超えたエコシステム構築を目指すズベルの戦略がメール・ルの事業と部分的に競合することも、交渉に影を落としている。(1RUB=1.38JPY)

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