中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)のハンガリー経済における影響力が過去5年間で大きく拡大したことが、英調査会社オックスフォード・エコノミクスの調査で分かった。これによると、2019年に同社がもたらした付加価値は国内総生産(GDP)の0.4%を占めたほか、国内で1万5,000人以上の雇用を創出した。国内での調達額は年間4%を超える勢いで増加しており、今後も同社の影響力は高まる見通しだ。
ハンガリー企業からの部品調達額は11億8,000万ユーロで、欧州における全調達額の14.1%を占めた。2015年(9億8,000万ユーロ)からは年率4.8%で増加している。
ファーウェイがハンガリーで直接的に生み出した粗付加価値(GVA)は3,940万ユーロで、2015年の3,330万ユーロから18.3%増加した。同期間の年間の平均伸び率は4.3%だった。直接・間接効果によるGVAは15年から22.4%増となる4億500万ユーロで、うち製造関連で生じたGVAの割合は63.1%を占めた。
同社の欧州事業全体のハンガリーへの影響をみると、2019年の同国GDPの0.4%が同社の欧州事業によるもので、金額では6億100万ユーロに上った。15年から19年にかけての伸び率の平均は年5.5%だった。
雇用への影響では、同社の調達によって1万5,200人の雇用が生まれた。2015年の従業員数は300人だった。
税収面では、同社と従業員からの法人税収や所得税収を合わせた金額は4,550万ユーロに上り、2015年の1,760万ユーロから大きく増えた。
ファーウェイは2009年に同国で最初の組み立て工場を設置した。13年に欧州連合(EU)の緊急電話システム更新事業でモバイルネットワーク構築に参加したのに続き、14年には英通信大手ボーダフォンと共に同国における第4世代(4G)移動通信の拡大に協力した。
2018年には同国のマジャールテレコム及びボーダフォンと協力し、第5世代(5G)移動通信の実証試験を行った。同社は近年、ハンガリーへの情報通信技術(ICT)関連投資を増やしており、5G通信などに関係する同国の事業者600社と契約を結んでいる。19年10月にボーダフォンが運用を開始した同国最初の5G通信網にはファーウェイの技術が導入されている。
ハンガリーは同社にとり中国国外で最大の製品供給センターとなっており、5Gをはじめ固定電話、データセンター及びサーバーなどに関連したB2B(企業向け)のICT製品を欧州の顧客に出荷している。今年10月には首都ブダペストに100人を雇用する研究開発センターを設置する計画を明らかにした。