ウクライナの首都キエフには、野良犬、野良猫がたくさん住んでいる。お腹を空かせて死んでしまわないようにと、地元の福祉団体ヤポモガがこの秋、エサの「自動販売機」・ヤポモガボックスを設置した。ボタンを押すとエサが出てくる、というところは普通だが、お金の代わりにペットボトルで「支払う」のが特徴だ。子どもを中心にたくさんの利用があり、今では「全国展開」も視野に入ってきた。
ヤポモガボックスにペットボトルを入れると、備え付けの金属皿にエサが20グラム入る。犬と猫のエサが混ざって出てくるが、これまでのところ、「犬猫戦争」は起きていない。エサ皿は朝夕に洗浄される。横には水の入った皿もある。
ウクライナに住む野良犬・野良猫は推定5万匹。キエフの野良犬だけでも約3,500匹に上る。一方、ペットボトルのリサイクル率は専用のごみ箱がないこともあって非常に低い。この二つの問題に同時に取り組むのがヤポモガボックスなのだ。ヤポモガ・プロジェクトを立ち上げたルファト・ライモフさん(30)によると「期待以上の好評ぶり」で、第一号機の集めたペットボトルは最初の1カ月で実に350キロに上った。
ライモフさんはアゼルバイジャン出身。キエフ国際関係研究所に留学し、IT企業を設立した。同時にヤポモガのホームページを立ち上げ、福祉プロジェクトの資金を集め始めた。クレジットカードやポイントカードで集めたポイントを、特定のプロジェクトに「募金」できる仕組みで、ヤポモガボックスの設置資金もここで集めた。トルコにも公共交通機関のプリペイドカードに充填できる容器回収機があるが、「これを動物保護と組み合わせることを考え付いた」と話す。
反響の大きさを受けて、まずはキエフに最大10台設置する方向だ。夢は全国に広げることだが、すでに4自治体から打診を受けているという。