脳神経学とITを組み合わせたブレインテックを手がけるロシアのスタートアップ企業、ビキウム(Wikium)はこのほど、同国の農業大手ロスアグロ社長のマクシム・バソフ氏による出資を受けた。現地ウェブ紙『ルスベース』によると、同氏はビキウムの株式66%を取得した。取引額は明らかにされていないが、同社の評価額(1,500万ドル)から約900万ドルと見られている。
ビキウムは人の脳の認知機能を向上させるためのオンラインプログラムを提供している。今回調達した資金で国内の研究機関との協力拡大や新製品の開発を進め、1年をめどにストレス耐性や心理的安定を向上させるメンタルヘルス関連の新しいプログラムを導入していく。バソフ氏は今後さらに資金を提供する用意があるとしている。
同社によると、プログラムを利用することで、1週間で脳の反応速度が17%、2週間から3週間で記憶力が19%、1カ月で集中力が60%、2カ月で注意力が2.1倍向上する。
同社は2013年にサービスを開始した。昨年の売上高は1億7,000万ルーブル(3,780万ユーロ)で、利用者数は650万人。プログラムは石油大手ルクオイル、金融大手ロスバンク、通信大手ロステレコムなどのほか、ドイツの自動車大手メルセデスベンツと電機大手シーメンス、デンマークの断熱材大手ロックウールなどが導入している。(1RUB=1.39JPY)