中国・中東欧首脳会談、中東欧諸国の失望感強く

中国主導で毎年開かれている中東欧17カ国と中国の首脳会談(17プラス1首脳会談)――新型コロナの影響でオンライン開催となった今年は、中国に対する中東欧諸国の懸念が印象に残るものとなった。中国との交易拡大や投資プロジェクトなど、習近平政権の予告と実際とのかい離が明確化しているほか、挑発的・好戦的な「戦狼外交」に対する懐疑心が強まっているためとみられる。特に、バルト三国とルーマニアは首相・大統領の出席を見送ることで、外交における同会議の優先順位が下がった事実をアピールする形となった。

習国家主席は会議で「今後5年間の中東欧からの輸入高を1,700億米ドルに」する目標を提示し、「中国製コロナワクチンの供給」などの提案を行った。しかし、何度となく期待を破られてきた中東欧諸国の反応は冷静で、ワクチンの供給を受けるのはハンガリー、ポーランド、セルビアの3カ国にとどまっている。

中国は金融危機の影響が色濃く残る2008/09年、アジアと欧州を結ぶ交易路「一帯一路」整備計画で、西の終点として東欧諸国の果たす役割が大きいと強調。投資を通じてポーランドやチェコ、ハンガリー、セルビア、ギリシャなどへの影響力強化を強めようと試みてきた。これにより、欧州連合(EU)を分断し、外交的に「無害化」するのが目的だった。この戦略はすでに東南アジア諸国連合(ASEAN)を対象に用いられ、中国の思惑通りの結果を生んでいる。

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