アゼルバイジャン国営石油、アナトリア横断パイプラインで水素輸送を検討

アゼルバイジャン国営石油ソカールは2月23日、アナトリア横断パイプライン(TANAP)を用いた水素の輸送を検討していることを明らかにした。二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として注目される水素の需要が今後増大することを想定したもので、同パイプラインの輸送容量の5分の1程度を欧州への水素の輸送に充てる。TANAPはカスピ海で産出する天然ガスの欧州への輸送を目的に建設された。

ソカールの投資・マーケティング担当副社長のナシロフ氏は、水素関連技術の開発を手掛ける日系及びドイツ企業を念頭に、石油・ガス分野の大手企業はエネルギー環境の変化に対応する必要があると述べた。

水素は再生可能エネルギー、原子力などから生産され、パイプラインで輸送することができる。CO2を発生させず燃焼させられるため、排出量削減の観点から関連技術の開発が進められている。

ソカールはすでにTANAPを利用した水素輸送のための研究を終えている。同パイプラインは南コーカサス・パイプライン、アドリア海横断パイプラインと共に、400億ドルをかけたプロジェクト「南ガス回廊(Southern Gas Corridor)」を構成する3本のパイプラインの1つ。アゼルバイジャンのカスピ海沖にあるガス田「シャー・デニズ2」の天然ガスをジョージア、トルコ、ブルガリア、ギリシア、アルバニアを経由してイタリアまで輸送する。総延長は3,500キロメートル。

ナシロフ氏はまた、TANAPを使い東地中海で産出するガスをバルカン半島まで輸送する意向も示した。ギリシア、イスラエル及びキプロスの3か国は昨年末、地中海東部のレバント海で産出する天然ガスをギリシアに輸送するパイプライン「EastMed」の敷設で合意している。

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