トルコ中銀、暗号資産による決済を禁止

トルコ中央銀行は16日、暗号資産(仮想通貨)を決済に使用することを30日から禁止すると発表した。取引リスクが非常に大きく、「修復不可能な」被害が生じる恐れがあると説明している。この措置を受けて、ビットコインの対米ドル相場は一時、4%以上も下落した。

中銀の決定に対しては、著名なエコノミストのウール・ギュルセス氏が「フィンテック分野の新興企業の国外移転につながる」と批判している。しかし、中銀は「暗号資産には規制・監督の仕組みがなく、規制監督機関もない。暗号資産を使うことで取引当事者が莫大な損失をこうむり、現行の決済方法への信頼が失われるリスクがある」と指摘。直接・間接的に暗号資産を使用する決済サービスを提供したり、電子通貨を発行する事業モデルを禁止する意向を表明した。

トルコ当局は1日、暗号資産の取引プラットフォーム運営事業者にユーザー情報の提供を命じたばかりだ。

トルコでは通貨リラの価値下落や急激な物価上昇を背景に、ビットコインに投資する人が増加している。ロイター通信が米ブロックチェーン調査会社チェーナリシスのデータを分析したところ、2月初めから3月24日までの暗号資産取引額は2,180億リラ(270億ドル)と、前年同期の70億リラから3倍に拡大。エルドアン大統領が中銀総裁を解任した3月20日から数日間の取引額は230億リラに上った。20年3月の1カ月間で10億リラだったことを考慮すると、激増といえる。

ロールスロイスおよびロータスカーズのトルコ正規販売店ロイヤル・モーターズは先週、暗号資産での支払いを受け入れると発表した。アップル、アマゾン、エクスペディアなどの世界IT大手ではすでに暗号資産で決済可能だ。(1TRY=13.44JPY)

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