フィッチ、スロバキアの格付けを据え置き

米格付け大手のフィッチ・レーティングスは4月30日、スロバキアの信用格付けを「A」に据え置いた。格付け見通しも従来の「弱含み」のままとした。景気がコロナ禍に直面しながらも予想ほど後退しなかったことや、経済の成長が期待できることなどが判断材料となった。見通しを「弱含み」とした理由としては、新型コロナによる打撃からどう回復するか、財政への影響がどれほど残るかがまだ不透明であることを挙げている。

フィッチは、スロバキア経済が輸出の強さ、国外直接投資(FDI)の堅調、欧州連合(EU)・ユーロ圏加盟国である強みに支えられ成長するとみる。EU中期予算(2021~26年)を通じて総額63億ユーロ(19年GDPの6.6%)の支援を受けることで経済成長が押し上げられる。プラス効果は21年に0.7ポイント、22年に1ポイントとなり、結果として経済成長率が21年に4.5%、22年に5.5%へ上昇する。

製造業はパンデミックによる環境の変化に迅速に対応した。屋台骨の自動車産業は17%縮小したが、良好なインフラと政府の投資奨励策が奏功し、高い価格競争力を維持している。ただ、長期的には自動車産業への依存を弱め、経済を多角化する必要がある。

財政赤字の国内総生産(GDP)比は21年に0.9ポイント増え、7.1%へ悪化する。22年には政府収入の増加するペースが上がり、5%へ改善する。

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