中・東欧、CIS諸国、ロシアに特化した情報誌

2021/5/19

テクノロジー

企業がポーランドに注目、インフラ・ITの充実が強み

この記事の要約

ポーランドが充実したインフラとIT分野の強さを武器に、国外からの投資を呼び込んでいる。先月中旬にグーグルがワルシャワに中東欧地域で初となるクラウドのデータハブ(クラウドリージョン)を開設したほか、マイクロソフトもクラウド […]

ポーランドが充実したインフラとIT分野の強さを武器に、国外からの投資を呼び込んでいる。先月中旬にグーグルがワルシャワに中東欧地域で初となるクラウドのデータハブ(クラウドリージョン)を開設したほか、マイクロソフトもクラウドのデータハブ設置を含む10億ドル規模の投資計画を進めている。マテウシュ・モラヴィエツキ首相は新規投資に関心を示している企業として、LG化学、メルセデス・ベンツ、ファイザー、アストラゼネカなどの名を挙げており、ポーランドに対する関心の高さがうかがわれる。

ポーランド経済は引き続き堅調だ。特にIT業界は、欧州ゲーム業界で最高の時価(80億ユーロ)を誇るCDプロジェクトなどを擁し、国際的な注目を浴びる。マイクロソフトは昨年の投資発表時に、ポーランドが「欧州デジタル業界の要」になるという見方を示した。

米コンサルティング大手マッキンゼーのアナリストも、ポーランドIT業界の成長継続を見込む。パンデミックを背景に、2020年1-5月の業界成長率は、それまでの数年間の年成長率の2.5倍に及んだ。景気は比較的安定しており、4G通信網も居住地域の94%で利用できるという強みがある。

懸念材料としては、「法と正義(PiS)」が率いる政府と、欧州連合(EU)の対立がある。ポーランドの司法改革が、司法の中立を定めるEUの原則に違反しているかどうかが争点だ。この関連でポーランドへのEU助成金が大きく削られるようなことがあれば、同国経済が強い打撃を受けるのは間違いない。