欧州連合(EU)は24日に開いた首脳会議で、ベラルーシに新たな制裁を科すことで合意した。同国当局が欧州格安航空大手ライアンエアー(アイルランド)の旅客機を首都ミンスクの空港に強制着陸させ、搭乗していたベラルーシの反体制派ジャーナリストの身柄を拘束したことを受けたもの。ベラルーシの航空会社によるEU空域の飛行、域内空港への乗り入れを禁止する。
制裁ではベラルーシ機をEU域内から排除するほか、強制着陸の責任者のEU域内にある資産の凍結なども含まれる。EUの航空会社には、ベラルーシ空域に飛行しないよう求める。
同問題はギリシャからリトアニアに向かっていたライアンエアー機が23日、ベラルーシの航空管制官から機内に爆弾が仕掛けられているという偽の情報を伝えられ、ミンスク空港に強制着陸させられたというもの。同機に搭乗していたジャーナリストのロマン・プロタセビッチ氏(26)が着陸後に当局によって身柄を拘束された。
同氏はベラルーシのルカシェンコ大統領に批判的な著名ジャーナリスト。EUは大統領が強制着陸、身柄拘束を指示したとの見方を強めている。制裁と同時に、同氏の即時釈放、国際民間航空機関(ICAO)による同問題に関する調査の開始を求めた。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長は首脳会議後の記者会見で「民主主義、表現の自由、欧州の主権への攻撃だ」とベラルーシを強く非難した。
EUは20年10月、大統領選後の混乱が続くベラルーシへの制裁で合意。ルカシェンコ大統領や選挙結果の改ざん、反体制派の弾圧に関与した当局者らに対してEU域内の資産凍結や渡航制限を科している。今回の首脳会議では、追加の制裁を発動することでも合意した。大統領に資金を提供しているベラルーシ企業への経済制裁などが含まれる見通しだ。