キルギスタンで18日、国連開発計画(UNDP)が開発したジョブマッチングアプリの利用が始まった。同アプリは日本の資金協力により開発が実現したもので、特に地下経済で働く日雇い労働者や、帰国した出稼ぎ労働者に対し、職場や技能向上の機会を提供することを目的としている。同アプリの普及により、新型コロナの影響で増加した失業者の雇用促進につながることが期待されている。
今回導入されたアプリ「IshtApp」では求職者がアカウントを開設し、履歴書の掲載や雇用者との直接のやりとりを行う。また、開設された専用ウェブサイト(www.ishtapp.kg)を通して雇用者と被雇用者の情報がやりとりされることから、これを利用して労働市場の動向に関する分析を行うこともできる。アプリはキルギス語とロシア語に対応している。同国のモバイルインターネットの普及率は94%、携帯電話の普及率は92%と高く、同アプリが普及する余地は大きい。
UNDP現地事務所のチェンバレン所長は、新型コロナ流行に伴う経済の落ち込みで多くの労働者が職を失い、貧困者が発生していると指摘し、アプリ導入で国全体での雇用が促進されると述べた。また今回のパンデミックではデジタル化が経済の回復への道筋を示すことになったとし、新たな投資機会を提供しているとの見方を示した。
同アプリは当初、ドイツ国際協力公社(GIZ)が2018年に実施したパイロット事業で開発されたもので、UNDPが開発を引き継ぎ、機能を拡充した。開発企業のウルト・ソフトウエア社によると、同アプリには人工知能(AI)による分析システムが使用されており、ユーザーに最適な求人情報を見つけ出すことができる。
アジア開発銀行(ADB)、UNDP及び同国の経済政策研究所が昨年実施した調査によると、新型コロナ流行の影響で同国の失業率は20%を超えると予想されている。統計局が行ったアンケート調査では、調査対象のうち失業者が1人でも発生した世帯の割合は全体の22%に達している。