国際同性・両性愛者、性別越境者、性分化疾患者協会(ILGA)の欧州支部が先月17日発表した最新の調査で、東欧の欧州連合(EU)加盟国よりも西バルカン諸国のほうが性的マイノリティ(LGBTI)の権利が保護されているという意外な結果が出た。なかでも、EU加盟候補国のモンテネグロは100点満点中63点を獲得して新興国中で1位、欧州全49カ国中でも11位となった。2020年に同性愛パートナーシップを法的に認める法案が可決されたのが高評価に寄与した。
東欧ではEU加盟国のポーランドが13点で43位と最悪だった。大統領選挙戦で、アンジェイ・ドゥダ大統領が反LGBTIを全面に押し出して選挙運動を繰り広げ、風向きが悪化。警察がLGBTIを恣意的に取締・逮捕したり、多くの自治体がLGBT排除決議を行ったりと、攻撃が強まっている。
一方で、ワーストランキングはやはり新興諸国のアゼルバイジャン、トルコ、アルメニア、ロシアとなった。
ILGA欧州支部の以前の発表によると、欧州・中央アジアでは2020年にLGBTIに対する迫害やヘイトスピーチが急激に増加した。この動きには政治家も加担しており、緊急事態下で政府の権限が強まった状況を悪用してLGBTIの権利を縮小したり、新型コロナ関連の支援対象からLGBTIを外したりするなど、抑圧があからさまになっている。
ILGA欧州支部は2009年以来、LEGTIをとりまく法的・政治的環境を指数化してランキングを発表している。12回目となる今回の調査は、これまでになく「停滞」が目立つものとなったという。