ぼろトイレ・コンテスト~ロシア

英国系掃除用洗剤メーカーが広告の一環として催した写真コンテストが、ロシアで大きな波紋を広げている。お題は「学校にあるぼろいトイレ」で、優秀作の賞品は「トイレの修理」。問題は、使い古されたトイレがそのまま使われている現状が誰の目にも明らかになってしまったという点にある。

専用サイトで公開された130枚の写真を見ると、◇ドアがない◇和式便所(しゃがまなければならない)◇便器が床にはめ込んであるだけ(=ソ連時代のまま)◇タイルがはがれている◇ラジエーター(暖房器)がさびている――など、老朽化が生々しく伝わってくる。生徒だけでなく、親からもたくさんの投稿があったという。

この写真コンテストについてロシア語ポータルのミェドゥーザは、「地獄への門を開くものとなった」とコメント。人気ブロガーのルステム・アダガモフ氏は「図らずも政治的活動となってしまった」とみている。実際、「トイレの惨状」について政府も立場表明に追い込まれたのだ。

地元経済紙『コメルサント』は政府広報官の記者会見で「(写真コンテストを)西側の挑発とみているか」と皮肉交じりに質問。これに対して広報官は「学校のトイレは連邦政府の管轄にはなく、プーチン大統領はコンテストを問題視していない」と答えた。

さて、「トイレを管轄」するのは地方自治体だが慢性的な財政難を理由に改修・修理代を出していないことが多い。学校は、トイレだろうと教室だろうと、修理費を生徒の親からの集金か、――あるいは企業のキャンペーンに参加してまかなっているのが現状だ。

みごと最優秀賞に輝いた学校の校長は「欧州で普通に行われるような改修をするだけのお金がない。だからコンテストに参加した」と話す。一方、入賞校の一つがあるボルゴグラード市当局は「市の予算で修理する」と発表した。ただ、学校関係者は「何年も市に費用を申請してきた」と話し、当局が本当に修理に乗り出すのかと懐疑的だ。

上部へスクロール