2021/7/7

その他産業

石油大手オルレン、自社用SMRの導入で化学企業と提携

この記事の要約

●日立GEのSMR「BWRX-300」の設置を目指す●SMRは水素生産のための電力源としても利用ポーランド石油大手のオルレンは6月29日、グループのプラントが自社用発電設備として小型原子炉(SMR)を導入するプロジェクト […]

●日立GEのSMR「BWRX-300」の設置を目指す

●SMRは水素生産のための電力源としても利用

ポーランド石油大手のオルレンは6月29日、グループのプラントが自社用発電設備として小型原子炉(SMR)を導入するプロジェクトで、国内化学企業シントスと提携契約を結んだと発表した。2050年のカーボンニュートラル(実質ゼロの排出量)達成に向けた取り組みの一環で、合弁会社の設立を含む詳細を3カ月以内に詰める。

オルレンが導入するのは、シントスが提携するGE日立ニュークリアエナジーのSMR「BWRX-300」。従来の原子炉に比べて出力が300メガワットと小さく、量産体制に入れば出力1キロワット当たりのコストが2,000米ドル前後と安い。国内では「7~10年後(オルレンのオバイテク最高経営責任者(CEO))」、国外でも「2030~31年(シントスのヴァルムズCEO)」には設置が実現するとみている。水素を生産するための電力としても利用を検討する。また、将来的には自社用途だけでなく、他社からの受注も狙う。

シントスは19年、ポーランドにおける「BWRX-300」の設置でGE日立と提携した。昨年10月には米原子力発電最大手のエクセロン・ジェネレーションおよびGE日立の協力を得て、ポーランド原子力庁(PAA)と「BWRX-300」設置の可能性をめぐる協議を開始した。同11月には、マイクロ原子炉(MMR)を開発する米ウルトラセーフ・ニュークリア・コーポレーション(USNC)と提携。ポーランド開発省に対し、欧州連合(EU)の「欧州の共通利益に適合する重要プロジェクト(IPCEI)」の枠組みに基づく助成を申請した。水素の工業生産に用いるエネルギー源としてMMRを位置付けている。