●年40~55GWを生産する計画、初期投資額は約19.4億ユーロに
●欧州最大のリチウム鉱床を持つチェコ、需要増で開発加速か
チェコ政府は27日、国有電力大手CEZとリチウムイオン電池工場の設置で提携する覚書を交わした。電気自動車(EV)向け電池の需要を念頭に置いたもので、年間40~55ギガワット(GW)を生産する計画。初期投資費用として総額500億コルナ(19億4,000万ユーロ)を見込む。雇用創出規模は2,300人以上となる見通しだ。
CEZはプロジェクトに投資するとともに、エネルギー及びリチウム資源の供給者として参加する意向だ。また、電池生産での提携に向けて、独フォルクスワーゲン(VW)および韓国LGと交渉している。
カレル・ハヴリーチェク通産相は電池生産の誘致に向けて数十億コルナ規模の投資優遇措置を適用する考えを示し、国を挙げてバックアップしていく姿勢を明らかにしている。
チェコは欧州最大のリチウム鉱床を持ち、その埋蔵量は世界全体の3%と推測されている。岩石の形状が採掘に不利なため、これまで開発されてこなかったが、需要拡大で採算がとれる可能性も出てきた。
CEZはリチウム採掘とバッテリー生産に将来性を見出している。リチウム生産では子会社を通じ、豪ヨーロピアン・メタルスと合弁。ドイツとの国境に近い北部シノヴェツで開発を進めている。
バッテリー生産では昨年、スロバキアの電池メーカー、イノバット・オートに出資した。イノバットはスロバキアに工場を設ける計画だが、CEZは当時からチェコにもバッテリー工場が建つ可能性に触れていた。
チェコは国内に複数の自動車工場を抱えており、立地と雇用を守るため電動化を推進している。状況が似ているスロバキアと提携する方針も示している。(1CZK=5.05JPY)