同性愛者が大嫌い~ジョージア

国際比較調査グループ(ISSP)が実施した世論調査で、ジョージアは欧州のなかで最も同性愛に対する嫌悪感(ホモフォビア)が強い国だということが明らかになった。以前から聖職者が反同性愛デモに能動的にかかわってきたことから、宗教的感情と連動していると考えられがちだが、それは必ずしも当たらないらしい。

ISSPは欧州を主とする33カ国で、調査参加者に同性の成人の性的関係についての考えを聞いた。「絶対に間違っている」と考える人の割合は、ジョージアで84%と1位で、平均の37%の2倍を超えた。2位はトルコの80%。同性愛差別のイメージがあるロシアで69%、反LGBT(性的少数者)法の成立で欧州連合(EU)が法的措置に着手したハンガリーで45%であることを考えると、その多さが目を引く。

年齢別でみると、若い人ほど同性愛への許容度が高い。また、性別では全体として女性の方が拒否的な人が多い。例外は35~54歳で、この年齢層では男女差がなかった。

国際比較では、キリスト正教の国々で同性愛嫌悪の傾向が強いことが分かったが、個人にとって「宗教が重要か」という質問の回答と照らし合わせると、宗教の重要度と同性愛への許容度に関係性はみられない。このため、反同性愛の原因は必ずしも宗教にあるのではなく、社会全体に反同性愛の傾向があることが問題と言える。

ジョージアでは2013年に開催された反LGBT嫌悪に反対する国際デー(IDAHOTB)をはじめ、LGBTの人権を訴える催しに対する抗議、参加者への暴行事件が繰り返し起こっている。先月5日に計画されていた反LGBT差別デモに対する抗議行動でも聖職者が能動的に関与し、事務所襲撃や関係者への暴力事件が起きた。政府が反デモの姿勢を示したこともあり、主催者側は「人身が危険にさらされる恐れがある」として中止を余儀なくされた。

ISSPは1984年に発足し、参加国の調査機関が毎年、共通の質問で世論調査を行う。10年ごとに同じテーマを取り上げるため、国と国との差だけではなく、同じ国の時系列的な比較もできる。今回の調査は宗教を中心とする社会調査と位置付けられ、2017年から20年にかけて33カ国でデータが集められた。ジョージアでは昨年2月に1,440人を対象に調査が行われた。

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