極東のシリコンバレー~ロシア

プーチン大統領の肝いりで進められているロシア版シリコンバレー計画。モスクワ郊外のスコルコボ・センターはよく知られているが、実は日本に近いところにもその拠点が整備されつつある。ウラジオストクと橋で結ばれるルースキー島がその現場だ。「サイボーグ・アイランド」として、ロボティクスおよび人工知能(AI)の研究・イノベーションハブと位置付けられている。

西側諸国と軍備・宇宙開発を競った冷戦時代。そこで培われたソ連の技術革新力の栄光は過去のものとなった。先端技術を擁する外国企業は制裁を恐れて対ロシア投資に及び腰だ。また、優秀な人材が外国へ移住する頭脳流出も続いており、開発をめぐる環境は厳しい。

この中で米国やアジア諸国と競っていけるだけの力を養うには、国がバックアップするしかないというのが、プーチン大統領の思うところだろう。極東地域でのイノベーション事業を支援する目的で、すでに極東ハイテク技術開発基金も設置された。

ルースキー島にキャンパスのあるウラジオストク極東連邦大学のアルトゥル・ビクティミロフ氏(脳神経外科)は、同基金の支援を受けているハイテク義肢装具のモトリカと提携しており、同社が「サイボーグ・アイランド」に入居する第1号企業となることを願っている。

やはり基金から助成を受けるロボット開発のプロモボット(Promobot)は今年、人間に似たロボットの開発拠点をウラジオストクに設置した。

企業招致の本格化はこれからだが、ウラジオストクではすでにロボット工学スクールが開校している。4歳から通うことができ、「稽古事」として人気があるという。

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