米ノートン、チェコ同業を80億米ドル超で買収

●アバストのユーザー数は4.3億人、合併後は5億人に拡大

●セキュリティ市場の成長を追い風に業界大手として地盤を強化

セキュリティ対策ソフト大手の米ノートン・ライフロックは10日、チェコ同業アバストを81億~86億米ドルで買収すると発表した。昨年12月の独アビラ買収に続くもので、個人向けセキュリティ事業のグローバル化を推進する。新型コロナの流行でインターネット需要が増える一方、ハッカー攻撃の影響も深刻になっている。セキュリティ市場の成長を追い風に、4億3,500万人のユーザーを誇るアバストと合併し、世界有数の業界企業として地盤を固める。

取引額は現金と新会社の株式で支払われる。手続きは来年半ばに完了する見通しだ。合併後の新会社はプラハと米アリゾナ州テンピに本社を置き、ユーザー数は5億人を超える。

ノートン・ライフロックは、事業統合で従業員数を5,000人から4,000人へ縮小するなどで、年間2億8,000万ドルの経費削減を見込む。株式はナスダックでの上場を継続し、アバスト株が取引されているロンドン証取の上場は廃止する見通し。

アバストは1988年の創業。コンピューターウイルス「ウィーン(Vienna)」の駆除プログラムを書いたパヴェル・バウディシュ氏とその数理工学研究所の同僚エドゥアルド・クチェラ氏が設立した。2001年にはベーシックバージョンの無料配布を開始した。

ノートン・ライフロックは2019年、ブロードコムの買収対象とならなかったシマンテックの一般向けセキュリティ事業が独立して誕生した。

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