●当初予定より1年8カ月遅れての完工
●欧州に年550億立方メートルのロシア産天然ガスを供給
ロシア国営ガスプロムは10日、ロシアとドイツを結ぶバルト海底天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム2」の敷設工事が完了したと発表した。ドイツ当局の許可を経て、来月の稼働を見込む。
ノルド・ストリーム2は、2012年に開通したノルド・ストリーム1に並行して敷設する形で18年に作業が始まった。しかし、米国のほかウクライナなどの東欧諸国が「天然ガス調達における欧州の対ロ依存が強まる」として強く反対したために計画が遅延。当初予定より1年8カ月遅れての完工となった。全長1,230キロの送ガス管2本を擁し、稼働すれば年550億立方メートルのロシア産天然ガスが欧州に供給される見通し。運営会社によると、2,600万世帯の需要に相当するという。
ノルド・ストリームはガスプロムおよびドイツのユニパー、ヴィンタースハルDEA、仏エンジ―、墺OMV、英蘭系シェルの合弁事業だ。総工費100億ユーロ強の半分はガスプロムが、残りの半分は欧州5社が負担した。
ロシアにとって欧州は資源取引の最得意先だ。しかし、供給経由地であるウクライナとの関係が悪化したため、同国を迂回する輸出ルートを整備してきた。ノルド・ストリーム1と2の両パイプラインもこの戦略の一環として建設された。