●物価上昇に歯止めかからず、目標からの「持続的な逸脱」懸念
●中銀はさらなる追加利下げを行う姿勢を明確に
ロシア中央銀行は10日の金融政策決定会合で、主要政策金利の7日物入札レポ金利を6.5%から0.25ポイント引き上げ、6.75%とすることを決めた。利上げは5会合連続。市場は0.5ポイントの上げ幅を予想していた。
国内経済がコロナ前の水準に戻る一方、景気回復を背景とする物価上昇に歯止めがかからないことから追加利上げに踏み切った。13日付で新金利を適用する。
同国の8月のインフレ率は前月を0.2ポイント上回る6.7%に拡大し、昨年5月(3%)からの上げ幅は計3.7ポイントに達した。内需の回復に供給が追い付かず、企業がコストの増加を価格に転嫁していることが影響している。中銀はインフレ率が10~12月期から減速して22年に4%~4.5%まで縮小し、その後は目標値の4%寄りにとどまると予想している。
中銀によると、経済成長率は4~6月期にコロナ前の水準まで回復し、足元の7~9月期も緩やかな拡大傾向を示している。多くの業種で企業の生産性がコロナ禍以前の水準を上回っていることに加え、内外の需要の増加を受けて企業投資が活発化していることが大きい。
中銀は声明で、生産供給能力を上回るペースで需要が伸びており、インフレ圧力は依然として高いままだと指摘。インフレ目標からの「持続的な逸脱」を招きかねないとし、状況が基本予測に沿って進む場合にはさらなる追加利下げを行う姿勢を明確にした。