●2月時の企業価値は12億3,000万ドル
●同アプリは料金が交渉制、時間はかかるが他社よりも安上がり
ロシアの配車アプリ「インドライバー(InDriver)」が秘かにユニコーン(評価額10億ドル超の未上場企業)になっていたことが分かった。アルセン・トムスキ最高経営責任者(CEO)が今月、求人を知らせるフェイスブックへの投稿の中で明らかにしたところによると、今年2月に北米の投資大手から1億5,000万米ドルを調達した際の企業価値が12億3,000万ドルに上ったという。
インドライバーは2012年、サハ共和国ヤクーツクで創業した。一般の配車アプリと異なり、料金が交渉で決まるのが特徴だ。まずは利用者がアプリに乗降地と予算を入力する。運転手は条件が合えば受諾ボタンを押す。安すぎると判断すれば、自ら料金を提示し返すこともできる。利用者は複数の運転手の反応をみながら、だれに頼むかを決めることになる。時間がかかっても構わなければ、他の配車サービスよりも安く利用できる。
インドライバーはアラビア語、アゼルバイジャン語、英語、フィリピン語、フランス語、ヒンズー語、インドネシア語、ラオス語、マレー語、ポルトガル語、ロシア語、スペイン語、タイ語、ウクライナ語、ベトナム語などのバージョンがあり、34カ国で100万人以上が利用している。
トムスキCEOによると、インドライバーは単なる配車アプリから、顧客を中心に据えたグローバル・プラットフォームへの転換を図っている。事業成長をさらに加速させる目的だ。これに対応して、運営面でも同じ都市の人間を集めた団結力を強みとするチーム編成から、より開かれた、幅広く多様な国際的マネジメントチームへ移行させていく。
今年2月の資金調達には、米国の大手ベンチャーキャピタル(VC)であるボンド・キャピタル、インサイト・パートナーズ、ゼネラル・カタリストが参加した。インドライバーにはこれまで、ロシアのレタ・キャピタルが17年に500万ドル、18年に1,000万ドル、ボンド・キャピタルなどが20年2月に7,200万ドルを投資している。