ロシア、電動車の道路通行料免除を計画

●政府が進める電動車普及策の一環

●有料道路の割合は低く、全国的な普及の後押しには力不足か

ロシア政府は2022年から、電気自動車(EV)の有料道路利用を無料とする方針だ。このほど閣議決定したもので、政府が進める電動車普及策の一環となる。ただ、有料道路の割合は全体の0.02%に過ぎず、全国的な普及を後押しするには力不足の感がある。

ロシアの道路は総延長155万3,700キロメートル。このうち国の管理する高速道路は5万キロだが、有料なのは1,950キロにとどまっている。

政府の予測によると、電池電動車(BEV)や燃料電池車(FCV)など電動車の年間販売台数は2024年に2万5,000台に達する。30年には全販売台数に占めるEVの割合が現在の0.05%から10%に拡大する。

政府は普及策の一環として、24年までに充電ステーションを9,000カ所、20年代末には7万2,000カ所まで増やす。また、30年までに1,000カ所に水素ステーションを設ける。これによって3万9,000人の雇用が創出されると見込んでいる。

経済紙『ヴェドモスチ』の6月報道では、BEV、FCVの普及に向けた政府投資として、30年までに105億米ドルが計画されている。これまでのところ、これらの資金は公共交通に投入されている。路線バスに占める電動車の割合は全国平均でみれば0.6%にしかならないが、モスクワに限ると5.5%に上昇し、欧州連合(EU)平均の6.1%に迫りつつある。

一方で、政府が気候変動対策にどう取り組んでいくのか、その具体的な道筋はまだ明らかになっていない。次回の気候変動枠組条約締約国会議(COP)が2カ月後に迫るなか、包括的な政府戦略の公表が待たれている。

上部へスクロール