ハンガリーの首都ブダペストのテクノロジーパークで、ビットコインを発明した「サトシ・ナカモト」の胸像の除幕式が執り行われた。ビットコイン関連の取材を得意とするジャーナリストのオンドラーシュ・ジュ―ルフィさんの発案で建立されたもので、「暗号通貨の生みの親」を記念するとともに、ブロックチェーン、暗号資産への関心を高めるのが狙いだ。同パークにはアップル創業者の一人、スティーブ・ジョブスの像も立っている。
「サトシ・ナカモト」は仮名で、ビットコインを作ったのが個人なのかグループなのか、性別や年齢も全く知られていない。このため、制作に取り組んだ彫刻家のレーカ・ゲールゲーイさんとトマーシュ・ギリさんは、「ナカモト氏の匿名性を尊重する形で像をつくる」ことを目指した。その結果、出来上がったのは、ビットコインの胸章のついたトレーナーを着て、フードをかぶり、特徴に乏しい顔をした人物の立像だ。顔はつるつるに磨き上げられ、周りの景色や覗き込む人の顔が鏡のように映る。ギリさんは「ビットコインは『誰のものでもあり、かつ、誰のものでもない』存在。この考えを胸像が示してくれれば嬉しい」と話している。
像の建立に必要な経費はクラウドファンディングで集められた。ビットコイン建ての寄付金がおよそ8,400ユーロに上ったが、彫刻家も他のサービス業者もビットコイン払いを受け付けなかったため、ハンガリー通貨のフォリントへ両替して支払われたという。