●「チベット、台湾、民主」といった言葉の検閲機能を発見
●調査対象の中ではファーウェイとシャオミのモデルに問題
リトアニア防衛省は21日、消費者に対し、中国製スマートフォンを買わないよう呼びかけた。政府による調査の結果、検閲機能やセキュリティ上の問題点がみつかったためで、使用中のものも、できるだけ早く処分すべきとしている。
この調査は、◇欧珀(オッポ)グループの一加(ワンプラス)の「8T」◇華為技術(ファーウェイ)の「P40」◇小米科技(シャオミ)の「Mi 10T」――の3モデルを対象に実施された。いずれも次世代通信規格(5G)に対応している。
調査結果によると、シャオミの端末では「フリー・チベット」や「台湾の独立万歳」、「民主運動」といった言葉を検知し、削除する機能が内蔵されていることが分かった。その数は、キーワード群も含めて449語・種類に上り、中国語でもアルファベットでも検知されるようになっていた。EU内では同機能のスイッチがオフになっていたが、遠隔操作でいつでもオンにすることが可能だ。
また、シャオミのクラウドサービスをユーザーが使うたびに、暗号化されたショートメッセージ(SMS)が秘かにシャオミのサーバーへ送られていることも判明した。暗号が解読できなかったため、どのような情報が送信されているのかはわかっていない。
さらに、スマホ及びユーザーについて、最高61項目のデータを収集していた。このデータは、Miブラウザアプリ使用時に得られる情報や、アプリがグーグルアナリティクスのアカウントおよび中国のサーバーに送った情報から集められていたという。
ファーウェイ製スマホでは、セキュリティの問題が発覚した。同社公式アプリストア「アップギャラリー」は、ユーザーの探すアプリを自社で扱っていない場合、外部のストアに自動転送する。その外部ストアで配布しているアプリに、マルウエアやウィルスに感染しているアプリが見つかったという。
ワンプラスのスマホは問題がみつからなかった。
リトアニアと中国の関係は最近になって悪化している。今年7月、台湾がリトアニアに設置する代表機関に「台湾代表処」の名称を用いると発表したことがきっかけだ。中国は8月、リトアニアに対して在中国大使の引き揚げを要求。自国の在リトアニア大使を呼び戻した。リトアニアは9月初めに「協議のため」、在中大使を「一時的」に召還した。
中国は台湾が自国領土であるとの認識から、他国機関・企業が「台湾」の名称を国名のように扱うことを強く拒否している。このため、台湾の国外代表機関の名称は「台湾」を用いず、「中華台北(チャイニーズタイペイ)」などとしていることが多い。