カザフスタン、暗号資産採掘向けの電力供給を制限

●中国の禁止を受け、同国は米国に次いで世界第2の「採掘国」に

●同国議会は2020年に暗号資産合法化の関連法案を可決

カザフスタンの国営電力網運営会社KEGOCが15日、大口需要家への電力供給を制限し始めた。電力不足に対応するためで、暗号資産のマイニング(採掘)事業者が標的となっているもようだ。

今夏に中国が暗号資産を禁止したのを機に、同国の事業者の多くが隣国カザフスタンに拠点を移した。これによってカザフスタンは米国に次いで世界第2の「採掘国」となった。業界団体のブロックチェーン・データセンター産業協会によると、国内で稼働する採掘用コンピューターは25万台と推定される。

採掘には多大な電力を必要とする。マグズム・ミルザガリエフ天然資源相は先月30日、「1年間で国内電力需要が7%増加した。通常の伸び率(2%)を大きく上回る」と発言。この増加が暗号資産採掘に関連するとみて、採掘事業者1社当たりの供給量を1メガワット(MW)、業界全体で100MWに制限することを政府に提案した。ブロックチェーン・データセンター産業協会は「納税義務を果たしている事業者ではなく、闇業者を取り締まるべき」と反対している。

カザフスタン議会は2020年に関連法案を可決。採掘を合法化し、暗号資産事業を立ち上げやすい環境を整えた。「デジタル資産」という概念を定義し、暗号資産取引業免許を導入して合法的に営業する地盤を整備した。

バグダト・ムシン・デジタル開発相は可決直後の閣議で、13社が総額800億テンゲ(1億8,800万米ドル)を投じてカザフスタンで営業を開始したと報告。2025年までに採掘業者の投資残高が5,000億テンゲ(12億ドル)に増加するという予想を示していた。(1KZT=0.27JPY)

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