●EUは同国に対し基本理念の「法の支配」に反すると何度も警告
●裁判官懲戒制度は政府の意向に反する判決を阻止する狙い
ポーランド政府による司法への締め付け強化をめぐる同国と欧州連合(EU)の対立が激化している。EUの欧州司法裁判所は10月27日、政府に対してEU法に違反する裁判官懲戒制度を廃止するまで1日100万ユーロの制裁金を支払うよう命じた。
EUはポーランドで2015年に右派の「法と正義」による政権が発足してから、政権による司法介入を強める制度改革が進められていることに対して、EUの基本理念である「法の支配」に反するとして何度も警告してきた。とくに問題視しているのは、20年2月に導入された裁判官の懲戒制度。最高裁判所に裁判官の懲戒処分を管轄する機関を設置し、裁判官の判断に問題がある場合は免責の剥奪、職務停止、減給などの処分を下すというものだ。政府の意向に反する判決を阻止する狙いがある。
欧州委は3月、同制度を不当として欧州裁に提訴。欧州裁は7月、EU法違反として、即時に停止するよう命じる判決を下した。ポーランド政府は同制度を廃止するとしながらも、具体的な行動を起こしていないことから、欧州委は9月、同裁判所に制裁を科すよう求めていた。