●ロシア産発泡ワインのみが「シャンパンを名乗れる」
●仏政府はWTOへの提訴も辞さない構え
フランスのフランク・リステール副外務相(貿易投資誘致担当)は10月26日、ロシアが「シャンパン法」の施行を来年1月1日まで延期することに同意したと明らかにした。仏ロ政府間の交渉に時間的余裕を持たせるためだ。本来は今月1日に施行される予定だった。
同法は輸入発泡ワインのラベル表示に「シャンパン」のロシア語である「シャンパンスコエ」(キリル文字)の使用を禁じるもので、今年7月に公布された。ロシアの発泡ワインは「シャンパンスコエ」を名乗れるのに、本物のシャンペンは「発泡酒」と表示しなくてはならないという規定に、仏シャンパーニュ地方の生産・販売業者などが猛反発。フランス政府はロシア側との協議が決裂すれば世界貿易機関(WTO)に提訴する構えを示している。
フランスでは「原産地統制呼称(AOC)」と呼ばれる制度に基づき、シャンパーニュ地方で規定の製法によって生産された発泡ワインだけがシャンパンの呼称を使用できる。欧州連合(EU)でも原産地名保護制度により、シャンパンの名称が保護されている。シャンパンの名称保護を拒否している国は、ロシアのほか、米国やハイチなど、わずかしかない。