●買収により市場規模と人口は2倍に拡大
●買収額8.8億ユーロは「伸びしろを考えると妥当」=投資筋
ポーランドの電子商取引(EC)大手アレグロが、ロックアウェイ・キャピタル・インベストメント、PPF、ECインベストメンツの中欧投資3社から、チェコの同業モール・グループ及び物流企業ウィードゥを8億8,100万ユーロ(10億2,000万米ドル)で買収する。中欧にまたがるECプラットフォームを構築する狙い。取引額は短期目標の達成具合に応じ、最大で5,000万ユーロ上乗せされる。手続きは来年後半に完了する予定だ。
アレグロのフランソワ・ヌウィー社長は今回の買収の意義について、「顧客はより多くの商品のなかから、欲しいものをより安く、より簡単に購入できるようになる。販売店は一度登録すればチェコ、スロバキア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、ポーランドの6カ国で販売できるようになる」と話す。ターゲットとする国々の小売市場規模は1兆1,400億ズロチ(2億8,500万ドル)、人口は7,000万人と、これまでの2倍に拡大。契約販売店も13万5,000軒へ増加する。プラットフォームの強化により、新システムを導入する場合でも、早く採算が取れると見込む。
また、ウィードゥの取得で、小包受取窓口・ロッカー数は一気に1,100カ所増加する。アレグロが来年末までに3,000カ所へ増やす計画に取り組んでいることからも、買収の効果が見て取れる。
米エクステラス・キャピタルのイヴァン・キム取締役は、「モール・グループは成長力を秘めた未統合の市場で業務を展開しており、伸びしろが大きい。それを考えれば、買収額は高いとは言えない」と評価。米ジェフリーズのアナリスト、セバスチャン・パトゥレア氏も、「アレグロは国際取引およびラストマイル配送が弱点だった。ウィードゥの買収でこの能力が大きく強化できる」と分析している。
アレグロは20年以上前から米イーベイに似たECプラットフォームを運営する。国内EC市場シェアは33%、雇用数は3,750人、月間訪問者数は2,000万人強に上る。昨年10月、ワルシャワ証券取引所(WSE)での新規株式公開(IPO)で23億ドル(企業価値:176億ドル)を調達し、ポーランド史上最高額を記録した。
中欧ではEC市場における競争が激化している。米アマゾンは先月、ポーランドでプライムサービスの提供を開始、シンガポールのシー・グループも9月に同国サイトを開設した。(1PLN=28.55JPY)