●スマートドライビング社はコネクテッドバスのデータを収集
●単一インフラによる大規模フリートの管理システムも実用化
デジタル技術をモビリティ分野に活用することに取り組むロシア企業が元気だ。規模の大小に関わらず、新しい移動の形を探っている。いずれもセンサーで集めたデータを活用して効率化・簡便化を目指す。
スマートドライビング・ラボ(Smart Driving Labs)は先月、都市公共交通向けコネクテッドビークル・システムを発表した。リアルタイムでバスの位置や速度、急発進・急ブレーキ・急ハンドルなどの操作、車両のコンディションを収集し、運転挙動の評価や事故時の対応・分析、保守計画の策定、稼働状況の監視などに活用する。将来的には都市交通インフラの管理への応用を視野に入れる。
スマートドライビングは2015年、モスクワを拠点に創業した。乗用車のオーナーやメーカー、販売店、リース企業やフリート事業者、保険会社などを対象に、コネクテッドカー・ソリューション向けハードおよびソフトウエアを開発してきた。その一つが「エレメント」システムで、盗難防止、24時間監視機能のほか、救急時の即時対応サービスなどが含まれる。
最近ではカーシェアリング企業のアズール・ドライブ(AzurDrive)と提携し、単一デジタルインフラで500台強の乗用車フリートが管理できるシステムを実用化した。その経験をもとに、「大規模なスマートリース・プログラム」を開発する予定だ。このほか、独BMWと提携し、オンラインのレンタル・試し乗り予約サービス「イージー2ドライブ」を開発した。
スマートドライビングの最終目標は、さまざまな技術・データ・輸送手段を組み合わせる統合プラットフォームを構築することにある。
ほかにも、ロシアの先端モビリティ技術分野では「空飛ぶタクシー」のホヴァ―サーフ(Hoversurf)、トラック運転手・運送業者向けサービスのフラ(Fura)などのスタートアップがある。大手ではヤンデックスとコグニティブ・テクノロジーズ(国営ズベルが30%出資する合弁会社)が自動運転技術の開発に取り組む。また、ロステックは来年にも生体技術を用いた交通料金決済システムの生産を開始する計画だ。
モスクワ市当局はデジタル技術の導入に積極的で、道路の車線境界線をまたぐ交通を記録するカメラの設置を始めたばかりだ。今年8月からは、タクシーの動きを監視し、違反した運転手に配車依頼が受けられないようにする措置も導入されている。