ウズベキスタンが未曾有の砂嵐に襲われている。1860年代に気象観測が始まって以来の深刻さで、視界は100~200メートルまで低下した。再選されたばかりのミルジヨエフ大統領は、気候変動の影響として国連での働きかけを強めるほか、緑地拡大に向けて大規模な植林を進めていく方針を示した。
砂嵐は今月4日、首都タシケント市のほか、タシケント州、シルダリヤ州、ジサフ州、フェルガナ盆地に到達した。当局は市民に対して、窓と戸を閉め切って隙間に濡れタオルを詰め、自宅にとどまるよう呼びかけた。気象衛星の写真では、カザフスタン南部とタジキスタンのソグド州も被害に遭った様子がうかがわれる。
情報サイト「bneインテリニュース」がタシケントで取材したところ、異常気象の原因を建設ブームと、2009年から政府がアミール・ティムール公園などで多数の大木を伐採したことに求める人が多かった。
12日までは降水が見込めず、数日間はこの状態が続きそうだ。
再選に伴う就任式を6日に行ったミルジヨエフ大統領は、「気候変動が我が国の脅威になっている事実を示す。アラル海の水位低下は深刻度を増しており、国連が今年5月に採択したアラル海沿岸地域を環境イノベーションと技術ゾーンとする特別決議を実行に移していかねばならない」とし、体系的かつ包括的措置を実施していく必要性を訴えた。また、国連が新たな環境政策を進めていく基盤となる世界環境憲章の決議に向け、努力を強化しなければならないと決意を述べた。
一方、政府の樹木伐採を反省してか、緊急植樹計画も発表した。年間200万本の苗・低木を植え、都市に占める緑地の割合を現行の8%から30%へ引き上げるとしている。
これについては、過去の緑化措置で植樹後の世話がおろそかになり、大半の苗が枯れてしまったことを指摘。「気候の現状と今後の予測を考慮し、予算を勘案しながら灌漑(かんがい)システム整備と併せて植林を進めなければならない」と話した。