米フィッチ、トルコ信用格付け見通しを「弱含み」へ引き下げ

●インフレ高進と不透明な金融政策が主因

●格付けは「BBマイナス」に据え置き

米格付け大手のフィッチ・レーティングスは2日、トルコの信用格付け見通しを「安定的」から「弱含み」へ引き下げた。格付け自体は「BBマイナス」に据え置いた。インフレ高進にも関わらず、政府が景気対策としてリラ安を追及する姿勢であるため、リラへの信頼が低下し、インフレ期待が上昇していることが主な理由だ。フィッチは今年の同国通期インフレ率を25%前後と予測している。

中央銀行は9月以来、大統領の意向を受けて金融緩和を実施。10月のインフレ率が20%弱であったにもかかわらず、先月も政策金利を15%へ引き下げた。9月以来の利下げ幅は合計4ポイントに上る。結果として実質金利が大幅なマイナスとなり、リラ安を加速させている。

通貨危機が深刻化するなか、1日にはエルバン財務相が辞任し、ヌレッティン・ネバティ副財務相が後任に就いた。ネバティ新財務相は「高金利がインフレの理由」とする大統領の持論を支持しており、リラへの圧力がさらに高まる原因となったとみられている。

中央銀行は大幅リラ安を受けて1日と3日に、リラ買い介入を実施した。しかし、米ゴールドマン・サックスの推測によると、中銀の外貨保有高は実質マイナスになっている。このため、同行の力ではリラを支えきれないという見方が広まっている。

3日発表の11月の消費者物価指数(CPI)は前年比で21.3%と、3年来の高水準を記録した。リラは11月の1カ月間で約30%、年初以来では約47%安くなっている。リラの対米ドル相場は11月30日に1ドル=14リラの史上最安値を記録した。(1TRY=8.21JPY)

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