西バルカン3国、市場統合へ前進

●「人、物、資本、サービスの移動の自由」のEU理念の実現を目指す

●アルバニア、北マケドニア、セルビアの3国はEU加盟が難航

アルバニア、北マケドニア、セルビアの3国首脳は12月20、21の両日、アルバニアの首都ティラナ及び近郊のエルバサンで会談し、市場統合に向けた手続きで合意した。欧州連合(EU)の理念である「人、物、資本、サービスの移動の自由」を西バルカン地域で実現させる「オープン・バルカン」イニシアチブの一環で、モンテネグロ、コソボ、ボスニア・ヘルツェゴビナにも引き続き参加を呼びかけていく姿勢だ。

今回の会談にともない、3国は◇労働市場への相互アクセスの自由化(域内における就労の自由)◇デジタルID制度の共通化◇家畜用医薬品・食の安全における提携――などに関する協定5本に調印した。これにより、各国の国民が3カ国のど

こにでも住めるようになり、学歴や職業研修も相互に認められるようになる。また、物やサービスの移動では国境検査が大幅に緩和される。

これとは別に、セルビアとアルバニア及び北マケドニアとアルバニアは、それぞれ経済提携に向けた2国間協定を結んだ。

オープン・バルカン首脳会議は、独仏などの主導で立ち上げられた取り組み「ベルリン・プロセス」を構成するものだ。西バルカン地域内の協力をうながし、欧州への統合を進めることを目的とする。参加する3カ国にとっては、EU加盟手続きが遅れるなか、市場統合を通じて経済を活性化させ、EUとの格差を縮める意味合いがある。

セルビアは欧州との加盟交渉が難航している。アルバニアと北マケドニアは交渉開始条件を満たしたものの、ブルガリアが歴史的論争の未解決を理由に北マケドニアとの交渉開始に反対。アルバニアについてもいくつかの加盟国が司法制度の重要な改革が残されているとして反対に回ったため、両国は加盟交渉を開始できないでいる。

なお、21日の会談はティラナで開かれる予定だったが、市場統合に反対する勢力が抗議行動を予告したため、保安上の理由からエルバサンへ開催地を変更した。次回のオープン・バルカン首脳会議は2月末、マケドニアの首都スコピエで開催される予定だ。

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