ブルガリア政府が12日、投資の見返りにブルガリア国籍を与える「黄金パスポート」制度を廃止する方針を固めた。欧州委員会に是正を求められてきたことに加え、投資拡大の効果があがっていないことで、国会議員の過半数が廃止に回っていることが背景にある。 同制度は、欧州連合(E )以外の国の人に、ブルガリア国債を10 万ユーロ購入するか、同国銀行に同額を預金することを条件に国籍を付与するものだ。半額の 2万 000ユーロを投資・預金した場合には永住権(黄金ビザ)を与えている。これまでに同制度で国籍を獲得した外国人は9 人。国籍・地域別ではロシア人が多く、中東諸国が2位となっている。 欧州委員会は昨年 月、政府に対し改めて同制度の廃止を求めた。ブルガリアが黄金パスポートを発給することで、他のE 加盟国が第三国の国民をE 市民として承認することを強制されるというのがその理由だ。非公式情報によると、ブルガリアがE 域内の自由な移動を保証するシェンゲン協定に加盟できないのも、同制度の存在があるからだという。 E 加盟国ではキプロスも同様の制度を運用してきたが、2020年11月、政府高官の汚職報道を機に廃止した。マルタも国籍取得をめぐる汚職や法律違反の運用実態、「新市民」の詐欺、資金洗浄、横領事件への関与が報じられ、欧州委から是正を求められているが、対応が遅れている。