●両国は2035年までに探査拠点を完成させる予定
●NASAの「アルテミス・ゲートウェイ」に競合するもの
中国の民用宇宙開発を担う国家航天局(CNSA)の呉艶華副局長は1月28日、中国とロシアが月探査拠点の共同設置で年内にも正式協定を結ぶ可能性が強いという見方を示した。昨年3月の基本合意に沿うもので、アンドレイ・デニソフ在中国ロシア大使の25日の発言を確認する形となった。
ロシア国営宇宙開発企業ロスコスモスとCNSAは昨年6月、サンクト・ペテルブルクで開催された世界宇宙探査会議(GLEX)で、国際科学月面基地(ILRS)の設置計画に向けたロードマップを発表した。これによると、2035年までに探査拠点を完成させる予定だ。26~30年に2つのミッションを実施し、着陸・貨物輸送技術をテストするほか、月の土壌サンプルを地球へ輸送する試験を行う。31~35年にかけて周回軌道および月面に通信システム、電力設備、生命維持設備、研究設備などのインフラを整備する。月面基地には、月面車(ローバー)、跳躍型ロボットなども配備される見通しだ。
両国のプロジェクトは米航空宇宙局(NASA)の「アルテミス・ゲートウェイ」に競合するものだ。CNSAは独占提携ではなく「他国の参加も歓迎する」と開かれたミッションであることを強調している。