●イスラエル社のヒト免疫系モデルを引き続き創薬に活用
●シミュレーションを通じ新薬開発にかかる時間とコストを削減
米ファイザーは10日、イスラエルのサイトリーズン(CytoReason)との提携延長を発表した。2019年以来の提携の成果を踏まえたもので、サイトリーズンのヒト免疫系モデルを引き続き創薬に活用していく。
サイトリーズンは16年の創業で本拠をテルアビブに置く。機械学習(ML)を利用したヒト疾患のコンピュータモデリング技術企業だ。MLソフトが免疫システムなど臨床研究に関連する社内データや研究論文・調査のデータを収集し、組み合わせた結果に基づいて人体をシミュレーションする。薬への反応を予測し、候補薬を絞るのに役立つ。
ダヴィド・ハレル最高経営責任者(CEO)は、自社の技術の利点について、「動物実験や臨床実験ではなく、まず弊社のプラットフォームでシミュレーションすることで、新薬開発にかかる時間とコストを削減できる」と説明する。実際、1つの薬を開発するのには10年近くかかる。16年のある調査によると、その経費は14億~28億米ドルに上るという。
ファイザーとは免疫系疾患及び悪性腫瘍(がん)分野で提携しており、これまでに◇ある疾患の治療薬が標的にすべき分子に関する研究◇炎症性腸疾患(IBD、潰瘍性大腸炎、クローン病、全身性エリテマトーデスなど)の発症に関係があるとみられるケモカイン受容体6(CCR6)阻害剤の候補となる化合物に関する研究――で成果をあげている。
ファイザー以外にも、仏サノフィ、スイスのフェリング及びロッシュ、英グラクソ・スミスクライン(GSK)などと提携している。サノフィではぜん息治療薬、フェリングではIBD治療薬に重点がおかれている。