3DプリンタとAIでハイテク義肢を安く~ポーランド

義肢装具を必要としている人は世界に3,000万人いるが、実際に使っている人はそのわずか5%と言われる。この状況を打開しようと立ち上がったのがポーランドの学生2人。3DプリンタとAIを活用して価格を安くするのが目的だ。

開発に取り組むのはウッジ大学のイヴァン・イジュモフさんとカツペル・コピツキさん。イジュモフさんは、アクションゲーム「デウスEX」の主人公がナノテクをベースにしたサイボーグ技術で特殊な能力を有していることに触発され、「誰にでも手の届くハイテク義肢装具」の開発を思い立ったという。コピツキさんもこのアイデアが気に入り、2人で新興企業「シンプル・バイオニクス」を設立した。

サイボーグの夢は多くの人に影響を与え、義肢も単なる見せかけではなく、さまざまな機能を備えるようになっている。しかし、5万~10万ユーロの高価格に阻まれ、多くの人が使えないというジレンマが存在する。

イジュモフさんとコピツキさんは、ほぼどんな3Dプリンタでも使え、手ごろな価格の材料としてナイロンとガラス繊維の混合材を選んだ。加えて、装着者1人1人の筋肉の動きを覚えて義肢の動作に反映させるための人工知能(AI)ソフトウエアを開発した。

ソフトの学んだ情報は義肢に埋め込まれたICに記憶させる。これにより、各人の筋肉の動きから、例えばこぶしを握ったり、指を1本ずつ動かしたりという動作を義手が行うようにできる。

2人は、世界の若いイノベーター育成を目的とする「レッドブル・ベースメント」のポーランド代表に選ばれ、現在はイスタンブールで開かれる決戦大会に向けて準備を進めている。しかし、最終的には300ユーロ以下で売れる義肢を作るのが目標だ。

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