●ハンヒキビ原発はロシア製加水圧型原子炉の調達を計画
●現状はロシアへのエネルギー依存を高める方向に
フィンランドのサンナ・マリン首相は22日、ロシア原子力公社(ロスアトム)が参加する原発計画のセキュリティ評価を改めて実施する意向を示した。ロシアが21日、親ロシア派が実効支配するウクライナ東部の「ルハンスク共和国」と「ドネツク共和国」の独立を承認したことを受けたものだ。フィンランド政府はこれまで、エネルギー供給問題と外交政策を別物と扱ってきたが、ウクライナに対するロシアの攻撃的な姿勢がにわかに明確化するなか、立場の見直しを迫られている。
問題となっているのは、中西部ピュハヨキに設置予定のハンヒキビ原発1号機整備計画だ。プロジェクトを運営するフェンノヴォイマには、中小の配電公社などから成るフィンランド企業連合が66%、ロスアトムが34%出資する。
設置される原子炉はロシア製の加水圧型原子炉「VVER-1200」(出力1,200メガワット)で、燃料も稼働後数年間はロスアトム子会社のトゥヴェル(TVER)から調達することになっている。
フィンランドは石油・天然ガス需要のほとんどをロシアからの輸入に頼る。原子力開発はそもそも、ロシアへのエネルギー依存軽減を目指したものだったが、ロスアトムの参加でかえって依存を強める方向へ向かっている。
ハンヒキビ原発プロジェクトは計画が大きく遅延しており、現在、当局が建設許可を検討している段階だ。許可申請によると、2023年の着工、29年の稼働が予定されている。