●東部のハリコフは同国の「シリコンバレー」と期待されていた
●帰国が難しい場合、国外で拠点整備へ
ウクライナのテクノロジー企業が戦火を逃れて国外へ避難している。東部のハーキウ(ハリコフ)はロシア軍が侵攻するまでテック業界の中心地で、将来は同国の「シリコンバレー」になると期待されていたが、その夢は大砲の音とともに砕け散った。
すでに先月中旬に予防措置として、従業員とその家族の避難措置をとった企業もある。イスラエルのウィックス、アイルランドのシンプレス、米インストラクチャーなどがそうだ。ブロックチェーン技術を利用してゲームアイテムやメタバースのマーケットプレースを運営する「Dマーケット」はすでに2月初めの時点でモンテネグロへ避難した。
Dマーケットのヴラド・パンチェンコ最高経営責任者(CEO)は、当初2カ月の予定で避難したが、戦闘が長引いたり、ロシアがウクライナを占領したりした場合には帰国が難しいと考えている。その場合には、2014年のロシアのクリミア半島併合を機に4Aゲームズがマルタに拠点を移したのと同様に、国外で拠点を整備することになる。
ウクライナIT協会によると、同国IT業界は2年の間に1.5倍に成長し、昨年の輸出額は36%増の68億米ドルに急増した。戦前のIT企業数はスタートアップ1,400社を含めて約5,000社で、28万5,000人が従事していた。