●ニューラルネットワークに基づく自己学習型のAIを活用
●同社には独BMWやベトナムのビンファストなどが投資
イスラエルの自動運転技術開発企業、オートブレインズ(Autobrains)が技術の高度化を進めている。昨年11月のラウンドで大規模な資金調達に成功したほか、独自の手法を用いて開発の迅速化を進めている。それにより自動運転の適応力や予期能力、安全性をさらに向上させ完全自動運転の実用化を目指す方針だ。
同社創業者で最高経営責任者(CEO)のレイチェルガウズ氏によると、オートブレインズはモビリティと自動運転車に特化した自己学習型の人工知能(AI)を開発している。シグネチャ法を用いているのが特徴で、安全な自動運転技術の開発を迅速に行うことが可能だ。様々な産業向けのAI技術を開発するコルティカ(Cortica)グループ傘下の同社は、昨年11月に実施したシリーズCの資金調達ラウンドで1億100万ドルの調達に成功した。
■製品はレベル1から3の自動運転機能をカバー
同社によると、自動運転技術のレベル1からレベル3までをカバーするすべての機能の開発に成功している。製品は米国の自動車アセスメントプログラム(NCAP)の基準を満たしたカメラから自動運転技術まで幅広い。
同社の最新製品であるCartex 5は高度な運転支援システムを実現するもので、環境認識やセグメンテーションに関する情報を用いて予期しないシナリオに対応することができる。価格を抑えたCartex 4Mは比較的低レベルのレーダーフュージョン技術を提供するもので、Cartex 4に組み込むことができる。同製品はCartex 5に搭載されており、レーダーやカメラの信号の処理を通じて視界にない対象物の認識と探知が可能だ。ユーロNCAPの最新評価では、エントリーレベルではあるがスマートカメラと組み合わせた場合には、低レベルレーダーフュージョンで5つ星、カメラセンサーのクラスで4つ星を獲得できる水準にある。レイチェルガウズ氏は、安全性基準で5つ星を獲得したことは誇らしいことだと述べた。
■現実世界のデータをリアルタイムでマッピング
同氏によると、アウトブレインズはニューラルネットワークに基づく自己学習型のAIを使った認識ソフトウエアとアルゴリズムを利用している。カメラやレーダー、LiDARなどを使ったセンサーにより、人間に近い認識が可能だ。
また現実世界のデータをリアルタイムでマッピングすることで最適な意思決定を支援する。それを通して自動運転の適応力や予期能力、安全性を向上させられるほか、電力消費量を10分の1まで減らしコストを全体で40%削減することを可能にしている。その他レイチェルガウズ氏は、他社製品と異なり各利用者に合わせて個別に調整することができるのも同社の製品の特長だとしている。同社のソフトウエアはハードウエア上での実証試験を経て供給されるため、OEMやティア1の企業がハードウエアの供給先を必要に応じ選択することが可能になっている。
オートブレインにはドイツの自動車メーカーのBMW、自動車部品のコンチネンタル及びクノールブレムゼ、ベトナムの自動車メーカー、ビンファスト(VinFast)などが投資している。昨年獲得した1億100万ドルは技術開発に利用し新市場を開拓していく予定だ。
同社はOEM企業やティア1企業と市場投入を検討中で2023年までの実施を目指している。