露ズベルバンク、欧州から撤退

●対ロ制裁の影響で、欧州子会社で預金が大量に流出

●スロベニア、クロアチアの子会社は売却先が決定

ロシア最大手銀行の政府系ズベルバンクは2日、欧州市場から撤退すると発表した。ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁の影響で、欧州子会社で預金が大量に流出し、本社が露ロシア中銀の資金移動規制で流動性を供給できないことから事業継続は不可能と判断した。

ズベルバンクは欧州でオーストリア、クロアチア、ドイツ、ハンガリーなどに拠点がある。欧州連合(EU)の銀行の破綻処理を担うECBの「単一破綻処理委員会(SRB)」は1日、預金流出を受けて、オーストリアのウィーンに本社があるズベルバンク・ヨーロッパの破綻手続きに着手すると発表していた。

SRBによると、スロベニア子会社は同国最大手銀行ノヴァ・リュブリャナ・バンカ(NLB)、クロアチア子会社は政府が同国政府系銀行のクロアチア・ポスタル・バンク(HPB)による買収が決まった。このほか、ボスニア子会社とセルビア子会社もそれぞれ地元銀行に売却された。

ズベルバンクの欧州事業の資産総額は2021年末時点で130億ユーロ。同行は昨年11月、クロアチア、スロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ハンガリー、セルビアの事業売却を年内に確定させる考えを明らかにしていた。ロイター通信によると売却総額は当時、推定約5億ユーロだった。筆頭株主はロシア政府で、株式シェア50%プラス1株を保有する。

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