トルコの2月インフレ率54.4%、ウクライナ危機で上振れリスクに直面

●20年ぶりの高水準、通貨リラ安が価格高騰に拍車

●中銀は利上げを通じたリラの下支えに動けず

トルコ統計局(TUIK)が3日発表した2月の消費者物価指数(CPI)の上げ幅は前年同月比で54.4%となり、前月(48.7%)から5.7ポイント拡大した。これは2002年3月(65.1%)以来の高い水準。通貨リラ安に伴う輸入品価格の上昇がエネルギー価格と食品の高騰に拍車をかけている。インフレ率の上昇は9カ月連続で、昨年5月からの上げ幅の合計は37.8ポイントに達する。

上昇率を分野別にみると、構成比重の最も大きい「食品・非アルコール飲料」で前月の55.6%から64.5%に拡大したほか、「住居費・公益料金」で1.3ポイント増の49.7%、「運輸(自動車燃料含む)」で6.9ポイント増の75.8%となり、全体が強く押し上げられた。上げ幅は最も低い「通信」でも11.9%に上っており、前月に続き全分野で二桁台を記録した。

リラは過去1年、対米ドルで47%下落した。一方、「高金利がインフレを招く」を持論とするエルドアン大統領は政策金利の引き下げに固執しており、同国中銀は利上げを通じたリラの下支えができずにいる。中銀は2月17日、金利を2会合連続で14%に据え置くことを決定した。

政府は2月14日、インフレ緩和を目的に、小麦とパンに加えて主要食料品についても付加価値税率を8%から1%に引き下げたものの焼け石に水の状態だ。蘭ING銀行のアナリスト、ムハメット・メルカン氏は、ウクライナ情勢の緊迫によりインフレの上振れリスクが極度に高まっていると指摘。資源や穀物の輸入困難がインフレを一層高進させるとの見方を示した。

上部へスクロール