●天然ガスを今後20年のつなぎ資源と位置付け
●2024年までに国内の天然ガス生産が20%増加する可能性
クロアチアのトミスラフ・チョリッチ経済・持続可能発展相は17日、2024年までに国内の天然ガス生産が20%増加する可能性があるという見方を示した。石油大手INAが北アドリア海の新ガス井から採掘を開始したのに続き、加バーミリオン・エナジーなどが開発中の地上鉱区でも新たなガス井が稼働する見通しだ。ただ、これらは過去に開発免許が付与されたプロジェクトで、政府としては今後、天然ガス開発を強化する意向はない。
INAによると、生産を開始したのは北アドリア海のイカ天然ガス田の新しい採掘井「イカB-1R-DIR」で、日量15万立方メートルを算出する。年間では5,500万立方メートル弱となり、INAのガス生産が約7%増加する計算となる。
加バーミリオン・エナジーは、近く東スラボニアのベラク、ツエリッチ両鉱区で生産を開始する見通しだ。当初の採掘規模は、日量25万立方メートルが予定されている。
このほかにもINAが新たに発見したガス田や、クロアチア中部の鉱区で生産の準備が進められている。
クロアチア炭素庁によると、クロアチアのガス生産量は昨年、7億8,000万立方メートルだった。これは同国の需要(27億立方メートル)の約30%に匹敵する。同庁は今年の増産規模を、経済・持続可能発展省の予測を上回る2億8,500万立方メートルと予想している。
チョリッチ経済・持続可能発展相は、政府が再生可能エネルギーの開発に舵を切った事実を確認し、天然ガスを今後20年のつなぎ資源と位置付けていると言明した。このため、天然ガス開発を強化する計画はないという。
また、ロシアからの資源供給をめぐる状況については、ガスの輸入が止まっても、国内生産とクルカ港経由の液化天然ガス(LNG)調達で国内需要が満たせるとの見通しを示した。