セルビアの議会・大統領選、与党と現職大統領が勝利

●EU加盟を目指しつつ対ロ関係を重視する政治路線が支持される

●政府によるメディア統制が進む中、野党には極めて不利な状況

セルビアで3日、議会・大統領選挙が行われ、与党および現職のアレクサンドル・ブチッチ大統領(52)の勝利が決まった。欧州連合(EU)への加盟を目標に掲げながらもロシアとの関係を重視していく政治路線が支持された形だ。ただ、セルビアでは政府によるメディアの統制が進んで野党に極めて不利な状況で、選挙が「公正」に行われたとはいいがたい。

選挙管理委員会が開票率96.2%の段階で発表した各党の得票率は、ブチッチ大統領率いる与党・進歩党(SNS)が42.9%で他党を引き離してトップに立った。2位は野党連合「勝利のための団結」で13.6%、3位はSNSの連立パートナーの社会党(SPS)で11.5%だった、緑の党(Moramo)が4.5%を得票し、初の議会入りを果たした。

2020年の前回選挙では、野党が抗議のしるしとしてボイコットを呼びかけたため、SNSが単独過半数を握った。今回も最多票を得たが、野党支持者も投票したため、政権安定には連立が必須だ。

ブチッチ大統領は連立パートナー候補として、少数民族政党のボイボディナ・ハンガリー人同盟(SVM)に言及したが、従来のパートナーであるSPSとの連立継続の可能性があるかどうかは現時点では不明だ。

大統領選ではブチッチ大統領が58.6%と過半数を得たため、当選が確定した。野党連合候補のズドラヴコ・ポノシュ元参謀総長(59)は18.3%にとどまった。

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