チェコのユネスコ無形文化遺産リストをみると、民族舞踊「ヴェルブンク」、人形劇、鷹狩り、イースター行列「王様の騎行」、ガラスビーズのクリスマス飾りと、いろいろなものが公式に「文化遺産」と認定されている。しかし意外なことに、「チェコ」といえば多くの人が連想する「ビール」がまだ入っていない。この状況を変えようと、ビール醸造・麦芽製造業者団体が、遅まきながら最初の一歩を踏み出した。
同団体のマルティナ・フェレンコヴァー専務理事によると、ユネスコに登録申請するには、まず、チェコの無形文化遺産として認められなければならない。この判断は文化省が行うが、それにはチェコのどこかの地方自治体が無形文化遺産に指定していることが前提となる。というわけで、まずはラガービールの「揺籃の地」であるプルゼニ州に指定を申請した。南ボヘミア州でも近く手続きするという。ユネスコの無形文化遺産となるのは、早くても2026年となるもようだ。
チェコでは、すでに19世紀にはビールが文化として認識されていたといわれる。ビールは歴史の一部であり、人と人とを結びつける役割を果たしてきた。
現在でもビール業界では改良の努力が続いている。そのかいもあってか、チェコの1人当たりのビール消費量は年間130リットル強で世界1位。文化遺産に登録されていない今でも美味なことには変わりない。