●トランスバルカンパイプラインを南東欧での供給に最大限活用
●ロシア産資源からの依存脱却を目指すEUの計画実行に寄与
ブルガリアのアセン・ヴァシレフ副首相兼財務相は4月28日、バルカン地域とイタリアにおける天然ガス・送電インフラの管理と、ガスの共同調達に向け、国内に地域調整センターを設置する意向を明らかにした。ロシアによる天然ガス供給停止で、他の欧州連合(EU)加盟国も含め、エネルギー安定確保への道筋をつけることが急務となっているためだ。
ヴァシレフ副首相によると、同センターの創設を通じ、◇トランスバルカン・パイプラインを南東欧地域での供給に最大限活用◇EUによる共同調達の準備――を進めていく意向だ。欧州委員会は、新センターが地域のタスクフォースとしてノウハウと経験を集め、ロシア産資源からの依存脱却を目指す「リパワーEU」計画の実行を支援する役割を担うという見方を示した。ブルガリアは関連国を招き、5日に初の大臣級会議を開催する予定だ。
トランスバルカン・パイプラインは過去17年間にわたり、ウクライナ経由でロシア産ガスをブルガリアに運んできた。輸送能力は170億立方メートルで、需要に応じ、双方向にガスを送ることができる。トルコ・ストリームの開通に伴い、現在は使われていない。
トランスバルカン・パイプラインの輸送能力はガスプロムが予約しているが、ブルガリア政府は先週の突然の供給停止を法的に争い、その過程で他の業者にパイプライン能力を開放する手続きをとる意向だ。
ヴァシレフ副首相は同日、アレクサンダル・ニコロフ・エネルギー相とともに、ブリュッセルでウルズラ・フォンデアライエン欧州委員長と会見した。