2022/5/11

総合・マクロ

中国テック企業がロシアから撤退、欧米の制裁対象になるのを恐れ

この記事の要約

●パソコン大手レノボ、スマホ大手シャオミがすでに事業を停止●中国の対ロシア輸出は3月、全体として前月比で27%縮小中国テック企業が秘かにロシア事業からの撤退を進めている。米国が制裁措置の一環として、ロシアに製品・技術を輸 […]

●パソコン大手レノボ、スマホ大手シャオミがすでに事業を停止

●中国の対ロシア輸出は3月、全体として前月比で27%縮小

中国テック企業が秘かにロシア事業からの撤退を進めている。米国が制裁措置の一環として、ロシアに製品・技術を輸出している企業との取引を停止する構えを見せているためで、すでにパソコン大手のレノボ(聯想集団)やスマホ大手のシャオミ(小米科技)が同国事業を停止したという。米『ニューヨークタイムズ』紙が消息筋の情報として伝えた。

中国政府は自らが欧米などの対ロシア制裁に反対する立場から、自国企業に対し◇ウクライナ戦争について意見を表明◇欧米の制裁措置に従う――などを禁じている。このため、撤退も公表なしで実行に移されている。唯一、一般向けドローン大手のSZ DJIテクノロジーだけが先月、ロシアおよびウクライナへの供給を停止すると発表しただけだ。同社は、ロシア軍が自社製ドローンをウクライナの攻撃支援に用いているという非難を受けて、「弊社製品が戦闘に悪用されることを防ぐ」目的で両国での販売を停止したと説明した。しかし、ウクライナ戦争についてはコメントしなかった。

中国政府がまとめた貿易統計によると、3月のノートパソコンの対ロシア輸出は前月比で40%、スマートフォンは3分の2近く、通信基地局は98%、それぞれ減少した。ジーナ・レイモンド米商務長官は先月、「欧米の輸出管理によってロシアのハイテク輸入が半分以下に減り、ロシアで半導体や軍用技術部品が不足している」と効果をアピールした。

これは、欧米の対ロシア制裁がサプライチェーンの奥深くまで波及することを示している。政府が制裁に反対している中国企業にさえ影響が及ぶということだ。中国の対ロシア輸出は3月、全体として前月比で27%縮小した。

中国は自国企業に「他国が発動した不公平な制裁に従わないよう」強制できる法律を整備するなど、「反制裁」対策を強化している。しかし、これまでのところ「制裁ボイコット」を命じた例はない。