ハンガリー中銀が政策金利を0.5ポイント引き上げ、利上げは12会合連続

●景気の腰折れを防ぐため小幅の利上げに

●中銀は厳格な金融政策を長期間維持と表明

ハンガリー中央銀行は5月31日、政策金利を0.5ポイント引き上げ、5.9%にすると発表した。利上げは12会合連続。市場は1ポイントの上げ幅を予想していた。ロシアのウクライナ侵攻によりインフレリスクが高まる中、景気の腰折れを防ぐため小幅の利上げに留めた。

政策金利の下限となる翌日物貸出金利は5.4%から5.9%に、上限となる翌日物、7日物有担保付貸出金利は8.4%から8.9%に引き上げた。

同国の4月のインフレ率は前月から1ポイント増の9.5%となり、13カ月連続で中銀の上限目標値(4.0%)を上回った。これは2001年6月(10.5%)と同等の水準。商品価格やエネルギー価格の高騰にウクライナ戦争が拍車をかけており、特に食料品が前年同月比で2桁の上昇率となっていることが大きい。中銀は今後について、食品価格の上昇と、サプライチェーンの混乱に伴う供給不足により数カ月はインフレの高進が続くものの、今年秋から徐々に鈍化すると予想する。

同国経済について中銀は、内需の強さがウクライナ戦争の及ぼす悪影響を部分的に相殺する可能性があり、4-6月期(第2四半期)も成長基調を辿るものの、その後は外部市場の成長鈍化、経済見通しの不透明化、エネルギー価格の高騰により減速が見込まれるとした。

中銀は声明で、ロシアとウクライナの戦争は国際環境を取り巻く不確実性を高め、インフレ見通しに極めて高いリスクをもたらしていると指摘。インフレ期待を抑えるため厳格な金融政策を長期間維持するとともに、物価や市場の安定に向けてあらゆる手段を講じるとしている。